【FP監修】葬儀でお坊さんにかかる費用 | 渡すお布施の平均相場は?

葬儀でお坊さんにかかる費用

葬儀は故人を弔い、最後のお別れをするための儀式です。日本の葬儀はほとんどが仏式で行われ、お坊さんにお経をあげてもらい、故人を弔います。そして、お坊さんへのお礼として「お布施」を渡すのが一般的です。

「高齢の父のお葬式はある程度しっかりした形にしてあげたいと思うが、お坊さんへのお布施が高いと葬儀費用が足りなくなるので相場を知りたい。」こんな相談がありました。

今回、解説する記事の内容をまとめました。

  • 一般お坊さんにかかる費用は「読経」と「戒名」のお布施が主なもの
  • 読経のお布施は、読経の回数で変わる。宗派によっても違うが、通常1回の読経で3〜5万円ほどが相場
  • 戒名のお布施は、宗派や戒名のランクでか差があるが、こだわらなければ5万円程度で授けてもらえる
  • お布施の相場は宗派で差があり、曹洞宗のお布施はやや高く、浄土真宗のお布施は安めの傾向にある
  • お布施を包むときは、正式には奉書紙を使うが、「御布施」と印刷された袋を使っても構わない
  • お坊さんにかかる費用を抑える方法として「寺や葬儀社に相談する」「戒名のランクを下げる」などがある。葬儀保険に加入するのも有効

この記事を読めば、葬儀でお坊さんに来てもらった場合の費用について、必要な金額や渡し方など詳しく知ることができます。

この記事の執筆者

筆者:北原 美弥子

執筆者 北原美弥子

FP技能士2級保持。長年にわたり企業の経理部に在籍した経験から、財務、法務の知識も備える。資産運用、保険に関する記事の執筆に加え、近年は墓じまい、永代供養に関する記事を多数執筆。

目次

葬儀でお坊さんにかかる費用の平均は?戒名料の平均は?

葬儀でお坊さんを呼んだ場合にかかる主な費用は「読経」と「戒名」のお布施です。本来のお布施はお寺の本尊にお供えされるもので決まった金額はありませんでした。しかし、現在は、お坊さんへの謝礼としてある程度の相場が決まっています。

葬儀でお坊さんに読経してもらったときのお布施の平均は?

葬儀でお坊さんにお経を読んでもらう場合、通夜、告別式の有無によってお布施金額は変わります。また、お布施の金額であげるお経の内容も変わるといわれています。葬儀形式別での読経のお布施は以下の通りです。

項 目料 金
直葬(火葬場で10分程度の読経)3万円〜5万円
家族葬(告別式のみの読経)6万円~20万円
一般葬(通夜・告別式での読経)9万円~50万円

読経のお布施は、読経の回数で変わります。宗派によっても違いますが、通常1回の読経で3〜5万円ほどが相場とされています。一般葬の場合だとお通夜、葬儀、火葬前と3回の読経が行われ、9〜50万円ほどが相場です。

読経のお布施以外に「お車代」「御膳代」をお坊さんに渡すこともあります。「お車代」は葬儀場までの交通費、「御膳代」は食事代として、お布施とは別途に渡します。どちらも金額は1万円程度を考えておけば良いでしょう。

葬儀でお坊さんにつけてもらう戒名のお布施の平均は?

戒名のお布施は宗派によって異なり、つけてもらう戒名のランクによっても異なります。以下の表は主な宗派のランク別の戒名料です。

宗派信士・信女など居士・大姉など院信士・院信女など院居士・院大姉など
浄土宗5〜30万円40〜60万円70万円〜なし
真言宗・天台宗30〜50万円50〜70万円80万円〜100万円〜
日蓮宗なし30〜50万円50〜80万円100万円〜
臨済宗30〜50万円50〜80万円なし100万円〜
曹洞宗30〜50万円50〜70万円100万円〜100万円〜
浄土真宗5〜10万円不明不明不明

「戒名」とは、本来は仏弟子となった証として与えられる名前のことですが、現在では亡くなったときにお坊さんにつけてもらうのが一般的です。浄土宗のお布施の相場は比較的安いといわれています。

一般的には戒名のお布施は読経の分とあわせてお坊さんにお渡しします。葬儀社に依頼してお坊さんを呼ぶ場合には、読経と戒名の合計のお布施金額をあらかじめ提示してもらえるので相談してみましょう。

【曹洞宗・浄土真宗の場合】お布施の平均相場は?

葬儀でお坊さんに来てもらい、読経や戒名をお願いした場合のお布施の平均相場はどのくらいなのでしょうか。曹洞宗と浄土真宗を例に、お布施の平均相場を挙げてみましょう。

【曹洞宗】お布施の平均相場は?

曹洞宗の場合、葬儀で包むお布施の金額は、3回の読経で20万円〜60万円ほど、戒名が30万円〜50万円ほどとされています。お車代や御膳料も含めて、お布施は平均60万円程度が相場とされています。

曹洞宗の葬儀は、他の仏教宗派のご葬儀に比べてかなり長い時間をかけて行います。また、曹洞宗は複数の僧侶が葬儀に携わることが多いため、お布施の相場もやや高い傾向にあります。

同じ曹洞宗であっても、寺院ごとに読経及び戒名の設定額は異なります。事前に確認をしておきましょう。

【浄土真宗】お布施の平均相場は?

浄土真宗の場合、葬儀に必要なお布施は10万円〜30万円とされています。通夜、葬儀、告別式での読経とほかのお布施も含めて、平均で30万円程度が相場といわれています。他の宗派に比べ、お布施の相場は安いといえるでしょう。

浄土真宗では戒名ではなく法名を授けますが、法名を授けてもらうのにお布施は必要とされていません。そのため、全体的なお布施の相場も安い傾向にあります。

実際には、一般的な法名を授けてもらって3万円〜10万円ほどのお布施を渡す方が多いようです。また、格式の高い法名を授かる場合は有料となり、20〜30万円ほどの費用がかかります。

葬儀でお坊さんに渡すお布施の書き方・包み方

葬儀でお坊さんにお布施を渡す場合のマナーについては、知らない方も多いのではないでしょうか。お布施の書き方や包み方・渡し方などを解説します。

葬儀でお坊さんに渡すお布施の書き方

お布施の袋は、表に「御布施」と印刷されたものを使うのが一番簡単です。文具店やコンビニで手に入ります。水引はなしか黒白か双銀のもので内袋が入っているものを選びましょう。

記入には薄墨ではなく普通の筆ペンかマジックペンで記入しましょう。「御布施」の下に喪主のフルネームまたは「〇〇家」と記入します。中袋に住所と金額を記入します。

葬儀社にお坊さんを依頼した場合は、葬儀社がお布施用の封筒を用意してくれることもあります。また、お布施のお札はできるだけ新札を使用するのがマナーです。封筒の表側に肖像画がくるように入れましょう。

葬儀でお坊さんに渡すお布施の包み方・渡し方

お布施は奉書紙で包むのが正式なマナーですが、印刷された袋を利用する場合、内袋にお札を入れてそれを外袋で包みましょう。お布施のお札はできるだけ新札を使用するのがマナーです。内袋の表側に肖像画がくるように入れましょう。

お坊さんにお布施を渡す際には、直接手渡しせずに小さなお盆(切手盆)に載せたり、袱紗に包んで渡します。お坊さんから見て正面になる向きで渡すようにしましょう。お布施以外の「お車代」などは別の封筒に入れ一緒に渡します。

お布施を渡すタイミングですが、葬儀が始まる前の挨拶時に渡すのが一般的です。お坊さんが葬儀会場に到着した時、喪主が挨拶に出向きます。その際に、お布施も渡すとよいでしょう。

葬儀でお坊さんにかかる費用を抑えるコツ

葬儀費用だけでなくお坊さんにかかる費用もあると、中には葬儀の規模を縮小しなければならないと考えてしまう方もいるでしょう。ここでは、葬儀でお坊さんにかかる費用をできるだけ抑えるコツを紹介します。

事前にお坊さんや葬儀会社に確認しておく

菩提寺がある場合は、事前にお寺にお布施の相場を確認しましょう。費用面で厳しい場合は正直にその旨を伝えてみましょう。お寺としても菩提寺として付き合ってきた状況があるので相談に乗ってくれることが多いです。

葬儀社にお坊さんの手配をお願いする場合も同様で、まずお布施の相場を確認しましょう。宗派にこだわらなければお布施の安いお坊さんを紹介してもらえることがあります。

本来、お布施は気持ちを表すもので、謝礼や対価として渡すものではありません。お布施の相場は必ず守らなければならないものではありませんから、費用でお困りの場合はまず相談することが大切です。

ネットの僧侶手配サービスを利用する

菩提寺がない方の場合、インターネットの僧侶手配サービスを利用することでお布施を大きく抑えることができます。1日葬での読経で8万5000円(戒名授与込み)程度で手配を依頼することができます。

菩提寺や葬儀社の手配と比べ、自由度が高いのが僧侶手配サービスの特長です。日程なども遺族の希望にあわせてもらえます。サービスの利用料金にお布施も含まれているため、利用者は必要な費用が事前に明確になるというメリットもあります。

菩提寺がある場合には、僧侶手配サービスを利用するとトラブルになる場合があるので注意しましょう。また、葬儀社から提携しているお坊さんを紹介される場合もありますから、よく相談して決めましょう。

戒名は一般的なものにする

お坊さんにかかる費用を抑える方法として、「戒名を一般的なものにする」のも挙げられます。

戒名にはランクがあり、一番上の位のものは100万以上のお布施が必要となることもあります。しかし、一番下の一般的な位の戒名であれば、宗派を問わなければ5万円程度でお願いすることもできます。

そもそも、戒名は必ずしも必要とは限りません。無宗教のお墓(公営・民営の霊園など)に入るなら基本的に必要ないでしょう。しかし、菩提寺のお墓に入る場合には、戒名を付けてもらわなければなりません。

【PR】お坊さんにかかる費用の負担を抑えたいなら「葬儀保険の加入」がおすすめ

葬儀保険は、本人の死亡の際、保険料が速やかに支払われるので、お坊さんへのお布施の負担を抑えることができます。

無告知型葬儀保険

無告知型葬儀保険は、加入するときに医師の診断書や健康告知などが必要ない保険です。疾病がある高齢の方でも加入しやすいのが特徴ですが、健康告知ありの保険に比べると保険料がやや割高になります。

40歳から79歳まで加入できます。保険期間は1年で、最大99歳まで更新が可能です。プランは1口(10万円)から最大10口(100万円)まで選べます。

契約日から3ヶ月間は待機期間のため、保険金は支払われません。申込時点で、本人が入院中であったり、著しい認知などで要介護の場合は、保険に加入できません。

【こんな方におすすめ】

  • がんや脳梗塞などの疾病で、他の保険に加入できない方

保険料一定型葬儀保険

保険料一定型葬儀保険は、一定の保険料を支払い続ける保険です。支払い保険料が一定である代わりに、年齢が進むにつれ受け取る保険金が減少していきます。

40歳から84歳まで加入できます。保険期間は1年で、最大99歳まで更新が可能です。支払方法は月払いのみです。医師の診断書は不要ですが、入院中や要介護の方は加入できない場合もあります。

契約日から1ヶ月間は待機期間のため、保険金は支払われません。支払う保険料は、1年ごとの更新時にのみ増額・減額変更が可能です。

【こんな方におすすめ】

  • あまり高い保険料は支払ないが、葬儀の費用は少しでも準備しておきたいという方

保険金固定型葬儀保険

保険料一定型葬儀保険は、受け取る保険金が固定されている保険です。年齢に関わらず変わらない保険金を受け取れますが、代わりに年齢が進むにつれ支払う保険料が増加していきます。若い年齢で加入するほど保険料は安く済みます。

40歳から84歳まで加入できます。支払方法は月払いと年払いがあります。医師の診断書は不要ですが、入院中や要介護の方は加入できない場合もあります。

契約日から1ヶ月間は待機期間のため、保険金は支払われません。受け取る保険金の額は、1年ごとの更新時にのみ変更が可能です。

【こんな方におすすめ】

  • 年齢はまだ若いが、万が一に備えて葬儀費用を準備しておきたいという方
  • 葬儀費用はある程度の額が必要だという方
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次