【FP監修】1日葬にかかる費用の平均 | メリット・デメリットは?

1日葬にかかる費用の平均

少子高齢化が進み、親の葬儀のことで悩んでいる方は多いのではないでしょうか。近年では一般葬より費用がかからない葬儀を望む方が増えています。一日葬もその一つの形です。

「80歳になる父は要介護になりそうなので、まだ元気なうちに葬儀のことを話し合っておきたいです。顔の広い人なのでそれなりの葬儀にしたいのですが、あまり費用はかけられません。1日葬にした場合どのくらい費用がかかりますか。」こんな相談がありました。

今回、解説する記事の内容をまとめました。

  • 「1日葬」とは、通夜を行わず、告別式と火葬を1日で終わらせる葬儀形式
  • 1日葬の費用は、葬儀一式が平均35万円程度、葬儀以外の費用が25万円程度で、合計60万円程度かかる
  • 1日葬のメリットは「葬儀にかかる時間が少なく済む」「遺族の負担が少なく済む」「費用が抑えられる」などが挙げられる
  • 1日葬のデメリットとして「参列できない人が出てくる」「家族や親族から不満が出る」「菩提寺の許可が必要」などが挙げられ
  • 1日葬の葬儀費用は、複数の葬儀社から見積を出してもらったり、祭壇などをシンプルなものにすることで抑えられる場合がある
  • 1日葬の葬儀費用の準備として、「葬儀保険」へ加入しておくことも有効な手段

この記事を読めば、1日葬の費用やメリット・デメリット、葬儀の流れまで詳しく知ることができます。

この記事の執筆者

筆者:北原 美弥子

執筆者 北原美弥子

FP技能士2級保持。長年にわたり企業の経理部に在籍した経験から、財務、法務の知識も備える。資産運用、保険に関する記事の執筆に加え、近年は墓じまい、永代供養に関する記事を多数執筆。

目次

1日葬とは?

1日葬とは、 その名の通り1日で行う葬儀形式のことをいいます。

一般的な葬儀は1日目にお通夜、2日目に告別式と火葬を行いますが、1日葬の場合はお通夜を執り行わず、告別式と火葬を1日で執り行います。

1日葬はその日だけで葬儀を終えられるため、喪主や遺族の負担も軽く済みます。近年では少ない人数でひっそりと葬儀を終えたいという方も増えているため、1日葬を行う件数が増えてきています。

1日葬でかかる費用の平均を紹介

では、1日葬で実際にかかる費用の平均を紹介しましょう。

項 目内 容料 金
葬儀費用一式・搬送・安置・告別式
・祭壇
・役所手続代行
・斎場への搬送
350,000円
葬儀以外の費用・僧侶手配(読経、戒名授与含む)100,000円〜
・位牌30,000円〜
・火葬場飲食代無料〜10,000円
・返礼品無料〜30,000円
・火葬費用(地方自治体による)無料〜78,000円

1日葬は通夜を行わない分、葬儀一式の費用が抑えられるので平均費用は35万円程度です。また、葬儀以外の費用も弔問客への飲食代や返礼品などそれほどかからずに済みます。

お坊さんへのお布施は、一般的な葬儀の場合だと15万円から30万円程度が相場ですが、1日葬の場合は通夜での読経がないため、10万円程度が相場となっています。

1日葬と家族葬の違い | それぞれの割合は?

1日葬と家族葬を混同される方がいますが、この2つは異なるものです。1日葬は葬儀の日数を1日に限定した葬儀形式ですが、家族葬は参列する方を限定した葬儀形式で、日数を限定するものではありません。

近年行われたアンケートでは、葬儀の全体数から見た1日葬の割合は約7%程度、家族葬の割合は56%となっています。コロナ以前の調査では1日葬は全体の4%程度、家族葬は全体の30%程度でした。

1日葬や家族葬が増えたのは、コロナの影響で簡素な葬儀が広まったことや、慣例にとらわれない葬儀形式が一般的に理解されやすくなっていることが理由と考えられます。

1日葬にするメリット・デメリット

1日葬を選ぶにあたっては、本人および家族がそのメリット・デメリットをしっかりと理解しておくことが大切です。

1日葬にするメリット

1日葬にするメリットは、「葬儀にかかる時間が少なく済む」「遺族の負担が少なく済む」「費用が抑えられる」などが挙げられます。

一日葬の最大のメリットは、体力的にも精神的にも遺族の負担を軽減できる点です。通夜を行わない分、弔問客への対応が少なく済み、葬儀前日に身内だけで故人とゆっくりお別れもできます。

1日葬は通夜を行わない分、葬儀費用が抑えられる点も大きなメリットといえるでしょう。通夜を行う一般的な葬儀の場合、葬儀費用は100万円以上かかることも多いのですが、1日葬はそこまでの費用が必要ではありません。

1日葬にするデメリット

1日葬のデメリットとして、「参列できない人が出てくる」「家族や親族から不満が出る」「菩提寺の許可が必要」などが挙げられます。

1日葬の場合、葬儀が1日だけなのでスケジュールや人数制限で参列できない人が出てくる可能性があります。また、通夜を行わない葬儀に対して不満を持つ親族もいます。

故人に菩提寺がある場合には、菩提寺の許可を貰わなければならないというデメリットもあります。お寺は通夜・告別式・火葬という正式な葬儀形式を重視します。1日葬にする場合、菩提寺の許可を得ておかないとトラブルを招くリスクがあります。

1日葬の流れ・タイムスケジュール

では、一日葬の流れとタイムスケジュールについて、よくある例をもとに説明しましょう。

1日葬の流れ

一日葬は、お通夜を省略する以外は通常の葬儀と同じ流れで進みます。

1.ご逝去

医師による死亡確認後に死亡診断書が発行されます。死亡診断書は火葬、埋葬時に必要です。その後、すみやかに葬儀社へ連絡します。

葬儀社がまだ決まっていない場合でも、ご遺体の搬送だけ依頼することはできます。

2.搬送・ご安置

葬儀社の寝台車に迎えに来てもらい、葬儀社の寝台車に迎えに来てもらい、故人のご遺体を安置先に搬送します。安置場所は自宅でもかまいませんが、葬儀社の安置室を利用される方が多いです。

3.葬儀社との打ち合わせ

葬儀社のスタッフと葬儀の日程や内容、今後の流れなどを打合せします。僧侶の手配、火葬場の空き状況、遺族の都合などをてらしあわせ、日程を決定し、葬儀費用の見積を出してもらいます。

4.ご納棺

ご遺体は告別式までにお棺に納めてもらいます。手配は葬儀社が行ってくれます。その際、想い出の品物などを入れることも可能です。

祭壇や生花を飾る場合、納棺と併せて設営してもらいます。

5.告別式

告別式は1時間ほどの儀式です。火葬場に出発する前に、故人様との最期のお別れとなります。告別式の時間は、火葬場の予約時間から逆算して決定します。

6.火葬

火葬場にて荼毘に伏します。時間は1時間前後です。荼毘の終了後、ご遺骨を骨つぼに収め、葬儀は終了となります。骨つぼは、納骨まで自宅に安置することになります。

1日葬のタイムスケジュール

1日葬の当日タイムスケジュールは以下の通りです。

1.告別式 午前9時~10時頃

斎場で葬儀式・告別式を行います。ここが葬儀参列者と故人との最後のお別れの場となります。告別式の所要時間は1時間程度です。

喪主および遺族は、少なくとも式開始の1時間程度前に斎場に到着しておくようにしましょう。

2.出棺式 午前11時~12時頃

告別式が終わると、お棺を出棺します。出棺の直前に、喪主による挨拶を行うのが一般的です。

3.火葬場への搬送 

出棺からの流れで火葬場へご遺体を搬送します。火葬場へ同行するのは、一般的には遺族や親族のみです。

4.火葬・お骨上げ 午前12時~午後1時頃

火葬直前に簡単なお別れの儀を行ってから、火葬をします。火葬には1時間程度かかるため、待合室に移動して軽食等をつまみながら待つことが多いです。火葬後はご遺族が集まり、ご遺骨を箸で骨壺へ入れていく「お骨上げ」を行って、火葬終了です。

1日葬の場合、そのまま火葬場で解散となることもありますが、喪主や遺族は斎場に戻って葬儀社と費用の清算などを行います。

1日葬の費用を安く抑えるには?

1日葬は一般葬に比べ、費用を抑えることができる葬儀形式ですが、さまざまな事情からもっと費用を抑えたいという方もいるでしょう。ここでは、自宅での葬儀費用を安く抑える方法を解説します。

事前に複数の葬儀社から見積をもらい検討する

1日葬の費用を抑えるためには、ご存命のうちに複数の葬儀社から見積をもらい、検討しておくと良いでしょう。

近年では、1日葬のプランを設けている葬儀社が増えています。小規模な葬儀を専門としている葬儀社の場合、式場費用がかなり抑えられているのでかなり安い費用で1日葬を行うことができます。

亡くなられてからでは、複数の葬儀社の比較をするのはかなり難しいでしょう。1日葬を希望する場合には、あらかじめ本人と家族とで葬儀の準備をしておくのが費用を抑えるコツです。

オプションをシンプルにする

1日葬の費用を抑えるためには、祭壇や棺、生花などのオプションをシンプルなものにすると良いでしょう。

葬儀の祭壇や棺、生花などはランクがあります。葬儀社のプランはたいていは一番低いランクのものになっているため、中程度のランクのものを勧められることもありますが、シンプルなものにしておけばその分費用を抑えられます。

遺族としては故人を送る際にできるだけ形にしてあげたいという気持ちがあると思いますが、1日葬自体がシンプルな葬儀形式です。過度なオプションはかえってバランスがよくない場合もあります。

費用の準備として葬儀保険に加入する

1日葬の費用を、どうしたら抑えられるかを考えるのも大事ですが、万が一のときの負担を軽減するために葬儀保険へ加入することもおすすめの方法です。

葬儀保険の保険金は、ご本人死亡の場合、速やかに支払われるので葬儀費用の支払いに充てることができます。

葬儀費用は月々500円程度から加入することができるプランもあり、大きな負担なしで墓石購入費用の準備ができます。70代の方でも、新規加入が可能です。

【PR】1日葬にかかる費用の負担を抑えたいなら「葬儀保険の加入」がおすすめ

1日葬でも葬儀費用はある程度必要となります。1日葬にかかる費用の負担を抑えたいなら、「葬儀保険の加入」がおすすめです。葬儀保険は、本人の死亡の際、保険料が速やかに支払われるので、ご遺族の葬儀費用の負担を抑えることができます。

無告知型葬儀保険

無告知型葬儀保険は、加入するときに医師の診断書や健康告知などが必要ない保険です。疾病がある高齢の方でも加入しやすいのが特徴ですが、健康告知ありの保険に比べると保険料がやや割高になります。

40歳から79歳まで加入できます。保険期間は1年で、最大99歳まで更新が可能です。プランは1口(10万円)から最大10口(100万円)まで選べます。

契約日から3ヶ月間は待機期間のため、保険金は支払われません。また、申込時点で、本人が入院中であったり、著しい認知などで要介護の場合は、保険に加入できません。

【こんな方におすすめ】

  • がんや脳梗塞などの疾病で、他の保険に加入できない方

保険料一定型葬儀保険

保険料一定型葬儀保険は、一定の保険料を支払い続ける保険です。支払い保険料が一定である代わりに、年齢が進むにつれ受け取る保険金が減少していきます。

40歳から84歳まで加入できます。保険期間は1年で、最大99歳まで更新が可能です。支払方法は月払いのみです。医師の診断書は不要ですが、入院中や要介護の方は加入できない場合もあります。

契約日から1ヶ月間は待機期間のため、保険金は支払われません。支払う保険料は、1年ごとの更新時にのみ増額・減額変更が可能です。

【こんな方におすすめ】

  • あまり高い保険料は支払えないが、葬儀の費用は少しでも準備しておきたいという方

保険金固定型葬儀保険

保険料一定型葬儀保険は、受け取る保険金が固定されている保険です。年齢に関わらず変わらない保険金を受け取れますが、代わりに年齢が進むにつれ支払う保険料が増加していきます。若い年齢で加入するほど保険料は安く済みます。

40歳から84歳まで加入できます。支払方法は月払いと年払いがあります。医師の診断書は不要ですが、入院中や要介護の方は加入できない場合もあります。

契約日から1ヶ月間は待機期間のため、保険金は支払われません。受け取る保険金の額は、1年ごとの更新時にのみ変更が可能です。

【こんな方におすすめ】

  • 年齢はまだ若いが、万が一に備えて葬儀費用を準備しておきたいという方
  • 葬儀費用はある程度の額が必要だという方
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