【FP監修】自宅で行う葬儀費用の平均 | 戒名や祭壇の費用も紹介

自宅で行う葬儀費用の平均

近年は葬儀社のホールでの葬儀が一般的になりましたが、昔は自宅で葬儀を行うのが当たり前でした。今でも「お葬式は自分の家で行うのが当たり前」という考えが根強く残っている地方もあります。

「恥ずかしいことに葬儀費用の準備をほとんどしていません。自宅での葬儀だったらそれほど費用がかからないときいたのですが、どのくらい費用がかかりますか?」このような相談がありました。

今回、解説する記事の内容をまとめました。

  • 自宅で行う葬儀は「自宅葬」と呼ばれており、セレモニーホールや会館などではなく、故人の自宅で通夜・葬儀を行う
  • 自宅で行う葬儀は、一般的な葬儀より自由度が高く、費用も30万円前後と比較的かからずに済む
  • 自宅で行う葬儀の流れは、基本的に一般葬とほぼ変わらないが、遺族の意向で通夜は告別式は簡略化できる
  • 自宅で葬儀を行う場合の服装は、地味な色合いのものであれば良く、正式な喪服でなくとも構わない
  • 自宅で葬儀を行う場合、喪主から近隣への挨拶は必須で、賃貸やマンションの場合は、とくに注意が必要
  • 自宅葬の費用を抑える方法として、直葬の葬儀形式にする、読経や戒名をお願いしない、などがある
  • 自宅葬の費用を抑えるのに、葬儀保険の加入がおすすめ

この記事を読めば、自宅で行う葬儀の費用、お布施、葬儀の流れまで詳しく知ることができます。

この記事の執筆者

筆者:北原 美弥子

執筆者 北原美弥子

FP技能士2級保持。長年にわたり企業の経理部に在籍した経験から、財務、法務の知識も備える。資産運用、保険に関する記事の執筆に加え、近年は墓じまい、永代供養に関する記事を多数執筆。

目次

自宅で行う葬儀とは?

自宅で行う葬儀は「自宅葬」と呼ばれており、セレモニーホールや会館などではなく、故人の自宅で通夜・葬儀を行うことをいいます。自宅葬は、葬儀社の手配により自宅で葬儀を行う方法と、葬儀社に依頼せずに近親者の手配で自宅で葬儀を行う方法があります。

葬儀社に依頼せずに自宅葬を行うと費用は抑えられますが、搬送や遺体の安置など遺族の負担が大きいため、最近は自宅葬でも葬儀社に依頼する方が多いようです。葬儀社に依頼しても会場使用料などがかからないため、一般葬よりは安く済みます。

自宅葬の特徴として、自由度が高いことが挙げられます。セレモニーホールなどの葬儀では当日のスケジュールが決まっており、時間の制約もありますが、自宅葬には制約はありません。仏式葬儀の流れにこだわらず自由に故人とお別れすることが可能です。

自宅で行う葬儀費用の平均を紹介

自宅で行う葬儀では、費用はどのくらいかかるのでしょうか。ここでは、葬儀社を通して自宅で行う葬儀費用について紹介しましょう。

自宅で行う葬儀費用の平均を紹介【5名】

自宅で行う葬儀で最も小規模なものが、5名程度の葬儀です。家族のみでの葬儀をイメージしてください。正式な通夜や告別式を行わず火葬のみとした場合の平均費用は25万円程度です。

項 目内 容料 金
葬儀費用一式・病院から自宅までの搬送
・自宅安置時のサービス
・枕飾り、棺、棺台、骨壷
・役所手続き代行
・斎場への搬送
15万円〜
葬儀以外の費用・親族の飲食代など3万円〜
・位牌(戒名授与含む)5万円〜
・火葬費用(地方自治体による)無料〜7.8万円

小規模な自宅葬であれば、通夜や告別式を行う仏式葬儀にこだわらなくても良いでしょう。家族だけであれば、返礼品は必要なく飲食費用もそれほどかかりません。僧侶にお経をあげてもらう場合は、別途にお布施が必要となります。

家族のみの自宅葬では寂しいと思う方もいるかもしれませんが、参列者が多い一般葬では、家族は接待に追われてしまう場合もあります。家族がゆっくりと故人との別れができるという意味では良い葬儀の在り方と言えるのではないでしょうか。

自宅で行う葬儀費用の平均を紹介【10名】

自宅で行う葬儀で10名程度で行う場合、家族に加えて親戚や親しい方が来るのをイメージしてください。正式な通夜や告別式を行なわない代わりに、弔問にくる方への接待が必要となり、平均費用は30万円程度です。

項 目内 容料 金
葬儀費用一式・病院から自宅までの搬送
・自宅安置時のサービス
・枕飾り、棺、棺台、骨壷
・役所手続き代行
・斎場への搬送
15万円〜
葬儀以外の費用・親族の飲食代など5万円〜
・位牌(戒名授与含む)5万円〜
・火葬費用(地方自治体による)無料〜7.8万円

10名程度の自宅葬でも、通夜や告別式を行わなければ葬儀費用は5名程度と変わりません。ただし、家族以外の方への接待の飲食費用は余計にかかります。また、返礼品の準備も必要となり、その費用もかかります。

10名程度となると、一度にご遺体の安置してある部屋に入るのは難しいこともあるでしょう。待ってもらったり通夜振る舞いをする部屋は別に用意した方が良いでしょう。

自宅で葬儀を行う場合の戒名・祭壇・お布施の費用を紹介

自宅で葬儀を行う場合の戒名・祭壇・お布施などはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。自宅葬の戒名・祭壇・お布施にかかる費用について解説しましょう。

自宅で葬儀を行う場合の戒名費用

自宅で葬儀を行う場合の戒名費用ですが、故人の宗派やどの程度のランクの戒名を付けてもらうかによって異なります。

檀家となっているお寺があるようでしたら、お寺に相談してみましょう。懇意にしているお寺がなければ、葬儀社を通してお寺を紹介してもらうこともできます。浄土真宗の戒名は一般的なランクで5万円程度で授けてもらえます。

戒名は仏教の信徒であることを表すものなので、お寺のお墓に入るという方以外、必ず付けなければならないわけではありません。近年では、無宗教であったり、他の宗教に属しているという理由で戒名を付けない方もいます。

自宅で葬儀を行う場合の祭壇費用

自宅葬で祭壇を用意する場合の費用は、白木のもので15万円〜40万円、生花祭壇で10万円〜60万円です。祭壇ではなく、生花飾りを置くこともあり、その場合は2万~10万円程度です。

自宅葬では、部屋の広さの関係から祭壇を省略することも多く、葬儀社が用意してくれる枕飾りのみであれば別途に料金はかかりません。

小規模の自宅葬であれば、大きな祭壇は置かなくてもよいでしょう。生花飾りはそこまで費用がかからず場所も取らないのでおすすめです。

自宅で葬儀を行う場合のお布施費用

自宅で葬儀を行う場合のお布施費用ですが、僧侶に来てもらいお経をあげて貰う場合は、お布施に加えてお車代、御食事代を渡すのが礼儀です。

読経のお布施は、読経の回数で変わります。宗派によっても違いますが、通常1回の読経で3〜5万円ほどが相場とされています。お車代、御食事代はそれぞれ1万円ずう包めば失礼にならないでしょう。

自宅葬では近隣を考慮して僧侶を呼ばない方もいますが、檀家の寺がある場合、葬儀に呼ばないことでトラブルになることもあります。あらかじめ、お寺に自宅葬である旨を伝えて理解してもらうことが必要です。

自宅で葬儀を行う場合の流れ

自宅で葬儀を行う場合の流れですが、葬儀を行う会場が式場ではなく自宅であること以外、基本的に一般的な葬儀の流れと同じです。ここでは、葬儀社に依頼して自宅で葬儀を行う場合を例に解説してきます。

1.ご逝去

医師による死亡確認後に死亡診断書が発行されます。死亡診断書は火葬、埋葬時に必要です。その後、すみやかに葬儀社へ連絡します。

葬儀社がまだ決まっていない場合でも、ご遺体の搬送だけ依頼することはできます。

2.搬送・ご安置

葬儀社の寝台車に迎えに来てもらい、故人を自宅に搬送します。ご遺体の安置ののち、枕飾りを設置してもらいます。

3.葬儀社との打ち合わせ

葬儀社のスタッフと葬儀の日程や内容、今後の流れなどを打合せします。僧侶の手配、火葬場の空き状況、遺族の都合などをてらしあわせ、日程を決定し、葬儀費用の見積を出してもらいます。

自宅葬の場合、火葬の日程以外の葬儀スケジュールは喪主や遺族の意向で決めることができますが、通夜や告別式を形式通りに行いたい場合は、葬儀社とよく相談して決めましょう。

4.ご納棺

ご遺体は通夜までにお棺に納めてもらいます。手配は葬儀社が行ってくれます。その際、想い出の品物などを入れることも可能です。

祭壇や生花を飾る場合、納棺と併せて設営してもらいます。

5.お通夜

通常は18時ごろ開始して、およそ1時間ほどの儀式となります。仏前式で行う場合は僧侶に来てもらいお経を読んでもらいます。

身内だけの自宅葬の場合、時間の制限はありませんから、ゆっくり故人の思い出話をして過ごしても良いでしょう。

6.告別式

告別式は1時間ほどの儀式です。火葬場に出発する前に、故人様との最期のお別れとなります。告別式の時間は、火葬場の予約時間から逆算して決定します。

自宅葬の場合、告別式は省略されることもあります。

6.火葬

火葬場にて荼毘に伏します。時間は1時間前後です。荼毘の終了後、ご遺骨を骨つぼに収め、葬儀は終了となります。骨つぼは、納骨まで自宅に安置することになります。

自宅で葬儀を行う場合の服装と気を付けるマナー

自宅での葬儀は比較的自由度が高く、ルールなどの制限が少ないことがメリットですが、葬儀での服装や気を付けなければならないマナーについてよくわからないという方も多いと思います。自宅葬の服装やマナーについて紹介しましょう。

自宅で葬儀を行う場合の服装

通夜などの席では基本的には略式の喪服(黒や紺、グレーの服装)であれば良いでしょう。親族だけで行う家族葬の場合は平服でも構わない場合も多いです。

火葬場へ向かう際には、喪主の意向に合わせて喪服を着用するか略装にするかを決めましょう。一般的には喪主やその家族は喪服を着用します。

自宅葬は、基本的に大勢の方を呼んで弔う葬儀形式ではなく、身内間でゆっくりと故人とお別れをする葬儀形式です。場合によっては時間も長くなるので、途中で着替えても問題はありません。

自宅で葬儀を行う場合に気を付けるマナー

自宅で葬儀を行う場合に気を付けるマナーとして、遺族側は、近隣住民への配慮を欠かさないようにしましょう。賃貸住宅やマンションでの自宅葬の場合、自宅葬自体を嫌がられる場合もあるので注意しましょう。

また、参列側のマナーですが、できるだけ電車かタクシーを利用しましょう。車で来訪するなら駐車場は自分で確保しましょう。また、自宅葬は、遺族だけで行いたい場合もあります。親戚でも案内がない場合は弔問するのはやめましょう。

香典や供花なども、遺族から案内がなければ控えるのが一般的です。また、自宅葬では香典の辞退を申し出ることも多く、辞退の知らせがあったにも関わらず、香典や供花を送るのはマナー違反です。自宅葬は遺族の意志を尊重することが最も重要です。

自宅での葬儀費用を安く抑えるには

一般葬に比べると、自宅での葬儀費用は比較的安く済みますが、さまざまな事情からもっと費用を抑えたいという方もいるでしょう。ここでは、自宅での葬儀費用を安く抑える方法を解説します。

火葬のみ(直葬)の葬儀にする

自宅での葬儀費用を抑える方法の一つとして、葬儀社の「火葬のみ」葬儀プランを選ぶことで自宅での葬儀費用を安く抑えることができます。

葬儀社にもよりますが、自宅葬で火葬のみであれば10万程度まで葬儀費用を抑えることも可能です。

近年、葬儀社の葬儀プランで火葬のみを行う直葬プランが増えています。通常は、葬儀社の会場にご遺体を安置するのですが、自宅に安置してもらうこともできます。

読経・戒名をお願いしない

故人が生前に読経や戒名は要らないと話している場合には、読経や戒名をお願いしないという方法があります。その場合、お布施が必要ないので費用をかなり抑えることができます。

まったくお経をあげてもらわないことにためらいがあるのであれば、読経の回数を減らしてお願いすることもできます。お付き合いのあるお寺がある方は相談してみましょう。

葬儀では僧侶にお経を読んでもらったり、戒名を授けてもらうのが一般的ですが、近年ではお寺との縁のない方も増えています。周囲の理解を得にくいことはありますが、仏式の葬儀作法にこだわらなくてもよいかもしれません。

自宅での葬儀の負担を抑えるために葬儀保険に加入する

自宅での葬儀の負担を抑えるために葬儀保険へ加入することもおすすめの方法です。

葬儀保険の保険金は、特定の葬儀会社でしか使えない互助会の積立とは異なり、どのように利用しても構いません。特定の葬自宅での葬儀で発生する費用に充てることもできます。

葬儀保険は医師の診断なしで加入でき、加入時の年齢によっては月あたり500円以下でスタートできるプランもあります。大きな負担なく葬儀費用の準備ができ、高齢の方でも新規加入することができます。

【PR】自宅で行う葬儀費用の負担を抑えたいなら「葬儀保険の加入」がおすすめ

【自宅で行う葬儀費用の負担を抑えたいなら「葬儀保険の加入」がおすすめです。

無告知型葬儀保険

無告知型葬儀保険は、加入するときに医師の診断書や健康告知などが必要ない保険です。疾病がある高齢の方でも加入しやすいのが特徴ですが、健康告知ありの保険に比べると保険料がやや割高になります。

40歳から79歳まで加入できます。保険期間は1年で、最大99歳まで更新が可能です。プランは1口(10万円)から最大10口(100万円)まで選べます。

契約日から3ヶ月間は待機期間のため、保険金は支払われません。申込時点で、本人が入院中であったり、著しい認知などで要介護の場合は、保険に加入できません。

【こんな方におすすめ】

  • がんや脳梗塞などの疾病で、他の保険に加入できない方

保険料一定型葬儀保険

保険料一定型葬儀保険は、一定の保険料を支払い続ける保険です。支払い保険料が一定である代わりに、年齢が進むにつれ受け取る保険金が減少していきます。

40歳から84歳まで加入できます。保険期間は1年で、最大99歳まで更新が可能です。支払方法は月払いのみです。医師の診断書は不要ですが、入院中や要介護の方は加入できない場合もあります。

契約日から1ヶ月間は待機期間のため、保険金は支払われません。支払う保険料は、1年ごとの更新時にのみ増額・減額変更が可能です。

【こんな方におすすめ】

  • あまり高い保険料は支払ないが、葬儀の費用は少しでも準備しておきたいという方

保険金固定型葬儀保険

保険料一定型葬儀保険は、受け取る保険金が固定されている保険です。年齢に関わらず変わらない保険金を受け取れますが、代わりに年齢が進むにつれ支払う保険料が増加していきます。若い年齢で加入するほど保険料は安く済みます。

40歳から84歳まで加入できます。支払方法は月払いと年払いがあります。医師の診断書は不要ですが、入院中や要介護の方は加入できない場合もあります。

契約日から1ヶ月間は待機期間のため、保険金は支払われません。受け取る保険金の額は、1年ごとの更新時にのみ変更が可能です。

【こんな方におすすめ】

  • 年齢はまだ若いが、万が一に備えて葬儀費用を準備しておきたいという方
  • 葬儀費用はある程度の額が必要だという方
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