【FP監修】葬儀をしないで自分で火葬(直葬)する場合の費用を紹介

葬儀をしないで自分で火葬(直葬)する場合の費用

平均寿命は年々延びており、今は90歳を越えることも珍しくなくなりました。親が90代で子供が60代というのも最近ではよく耳にします。

「90歳の母がかなり弱ってきて、そろそろ葬儀を考えなければなりません。互助会の積立をしていましたが、普通の葬儀をするには足りません。火葬のみにしたらどのくらい費用がかかりますか。」こんな相談がありました。

今回、解説する記事の内容をまとめました。

  • 葬儀をしないで火葬(直葬)する場合、葬儀社に依頼した方が負担が少なくて済む
  • 火葬(直葬)する場合の費用は、公営火葬場は10万〜13万円程度、民営火葬場は最低17万程度必
  • 葬儀をしないで火葬(直葬)のみにする割合は、全体のおよそ1割程度
  • 火葬(直葬)は基本的には僧侶は呼ばないが、希望すれば火葬場で10分ほどお経をあげてもらうことはできる
  • 火葬(直葬)でも費用の準備のため、葬儀保険の加入がおすすめ

この記事を読めば、葬儀をしない火葬(直葬)について、費用や流れ、注意しなければならないことまで詳しく知ることができます。

この記事の執筆者

筆者:北原 美弥子

執筆者 北原美弥子

FP技能士2級保持。長年にわたり企業の経理部に在籍した経験から、財務、法務の知識も備える。資産運用、保険に関する記事の執筆に加え、近年は墓じまい、永代供養に関する記事を多数執筆。

この記事の執筆者

筆者:北原 美弥子

執筆者 北原美弥子

FP技能士2級保持。長年にわたり企業の経理部に在籍した経験から、財務、法務の知識も備える。資産運用、保険に関する記事の執筆に加え、近年は墓じまい、永代供養に関する記事を多数執筆。

目次

葬儀をしないで自分で火葬(直葬)する方法

葬儀をしないで火葬(直葬)する方法には、葬儀社へ依頼する方法と、葬儀社に頼まずに自分で火葬場に搬送する方法があります。葬儀社に頼まず自分で火葬の手配をするのを「セルフ葬」といいます。

葬儀をしないで火葬(直葬)する場合でも、葬儀社に依頼することがほとんどです。ご遺体の配送や安置、火葬場の予約など葬儀社に依頼する方が遺族の負担が少なく済むからです。

自分で火葬手配をすれば、葬儀社に依頼するより費用はかかりません。しかし、全て自分で行うため負担は大きく、棺や骨壷など備品の購入も必要です。弔いの形としても、周囲の理解を得にくい点があります。

葬儀をしないで火葬(直葬)する場合の費用

葬儀をしないで火葬(直葬)する場合、どのくらいの費用がかかるのでしょう。ここでは、葬儀社の火葬(直葬)プランでかかる費用を挙げていきます。

公営火葬場で火葬(直葬)する場合の費用

火葬場は、公営と民営の2種類に分けられます。公営火葬場は自治体が運営し、基本、市ごとに作られています。公営火葬場で火葬(直葬)する場合の費用は、10万〜13万円程度かかります。内容は以下の通りです。

項 目内 容料 金
葬儀社手配基本一式・安置場所までの搬送
・安置(2日間)
・火葬場手配代行
・備品提供
・納棺
・火葬場までの搬送
85,000円〜
公営火葬場火葬費・火葬費用(地方自治体による)無料〜78,000円

葬儀社に直葬を依頼した場合、搬送や火葬場の手配、棺などの提供がパックされたプランで費用が85,000円程かかります。公営火葬場は利用費が安く、平均は3万円程度ですが、自治体によって大きく差があります。

公営火葬場は、通常、故人の居住地の火葬場を利用します。住民料金の適用で費用が安く済みますが、予約が一杯で火葬まで待たされることもあるため、費用は割高になりますがほかの地域の公営火葬場を使用することもあります。

民営火葬場で火葬(直葬)する場合の費用

民営火葬場は民間業者が運営しており、ほとんどが斎場と火葬場を兼ねています。斎場のプランと一緒に利用する方が多いですが、火葬場だけの利用もできます。民営火葬場で火葬を行う場合、費用は最低17万程度かかると考えてください。

項 目内 容料 金
葬儀社手配基本一式・安置場所までの搬送
・安置(2日間)
・火葬場手配代行
・備品提供
・納棺
・火葬場までの搬送
85,000円〜
民営火葬場火葬費・待合室利用費
・火葬費用
80,000円〜

民営火葬場は、誰でも利用することができ、火葬まで待つ日数が最短で済むというメリットがありますが、火葬料金は公営よりも高額になります。また、火葬を待つ間の待合室の利用も別途料金がかかる場合もあります。

民営火葬場には火葬炉の等級があります。等級が上の火葬を選ぶと、火葬までの日数がかからずに済みますが、火葬費用だけで10万円以上かかります。

葬儀をしないで火葬(直葬)のみにする割合

葬儀をせずに火葬(直葬)のみを考えている方も、実際どのくらいの方が火葬のみの葬儀を選んでいるのか気になるのではないでしょうか。火葬(直葬)にする割合について調べてみました。

葬儀をしないで火葬(直葬)のみにする割合

昨年度の各葬儀社のアンケートを見ると、おおよそ「火葬(直葬)」を選択した割合は全体の1割程度でした。

詳しくいうと「家族葬」が56%で最も多く、次いで「一般葬」26%%、「火葬(直葬)」11%という結果です。コロナ前の火葬のみの割合は全体の5%程度だったので、倍以上に増えたことになります。

もともと葬儀の規模は縮小傾向でしたが、それでも一般葬の割合が50%を越えていました。しかし、コロナにより葬儀の形は変わりました。今は、一般葬が少なくなり、近親者のみの家族葬や火葬のみを選択するのが7割を越えています。

公営火葬場で火葬(直葬)する場合の割合

火葬(直葬)で公営火葬場を利用する割合ですが、集計したデータやアンケートはありませんでした。ただ、実際のところは、故人の居住地にある公営火葬場を選ぶ方がほとんどのようです。

火葬(直葬)を選択する方は葬儀費用をあまりかけたくないという方も多いことが公営を選ぶ理由の一つでしょう。また、葬儀社に依頼した場合も公営火葬場で火葬予約を取るのが一般的です。

公営火葬場はたいてい市区町村に1ヶ所以上設けられています。東京23区は公営火葬場が少ないため、最近は都民が近隣県の公営火葬場を利用することもあるようです。

民営火葬場で火葬(直葬)する場合の割合

公営火葬場の項でお伝えしたように、民営火葬場で火葬(直葬)する場合の割合は集計できませんでした。

割合は集計できませんが、民営火葬場を利用する方の理由としては「公営は予約がいっぱいで火葬まで待たされるから」「付近に公営火葬場がない」などが挙げられます。

特殊な例として、東京都は23区内に公営火葬場が2ヶ所しかなく、代わりに民営火葬場が充実しています。公営火葬場の予約が取りづらいこともあり、都民の場合は民営火葬場を利用する割合が大きいです。

葬儀をしないで火葬(直葬)する場合の流れ

葬儀をしないで火葬(直葬)する場合の流れについて、かんたんに説明しましょう。ここでは葬儀社に依頼する流れについて説明していきます。

1.ご逝去

医師による死亡確認後に死亡診断書が発行されます。死亡診断書は火葬、埋葬時に必要です。その後、すみやかに葬儀社へ連絡します。

2.搬送・ご安置

葬儀社の寝台車に迎えに来てもらい、故人を安置先に搬送します。葬儀社の直葬プランの場合、安置場所は葬儀社指定となります。

3.葬儀社との打ち合わせ

葬儀社のスタッフと葬儀の日程や内容、今後の流れなどを打合せします。火葬場の空き状況、遺族の都合などをてらしあわせて火葬の日程を決定し、葬儀費用の見積を出してもらいます。

火葬場の空き具合によっては安置の期間が2日以上となることもあり、その場合は別途に費用がかかります。直葬の場合、葬儀社との打ち合わせにかかる時間は、葬儀の規模にもよりますが平均1時間程度です。

4.ご納棺

ご遺体は火葬までにお棺に納めてもらいます。手配は葬儀社が行ってくれます。その際、想い出の品物などを入れることも可能です。

5.火葬

安置場所から火葬場まで葬儀社に搬送してもらいます。基本、喪主は搬送に付き添えますが、ほかのご遺族の移動は実費となります。火葬場で最後のお別れをしたのちに荼毘に伏します。時間は1時間前後です。

一般葬の場合は火葬を待つ間に軽食やお弁当などを参列者にふるまいますが、直葬の場合は省略しても構わないでしょう。荼毘終了後、ご遺骨を骨つぼに収め、火葬は終了となります。骨つぼは、納骨まで自宅に安置することになります。

葬儀をしないで火葬(直葬)する場合にお坊さんは必要?

結論をいうと、葬儀をしないで火葬(直葬)する場合に、基本的には、火葬(直葬)を選ぶことは「お坊さんを呼ばない」ことを意味します。しかし、ご遺族の判断で直葬でもお坊さんに来てもらうことはできます。

火葬(直葬)は通夜、告別式がないので、お経をあげてもらう時間がありません。ただし、火葬の直前に10分程度お経をあげてもらうことはできます。火葬の前にお経だけはあげて欲しいという場合は、葬儀社や菩提寺に相談してみましょう。

故人の菩提寺がある場合は、火葬(直葬)に対して反対されることがあります。お寺の理解を得られないまま火葬を行うと火葬後の納骨を拒否される可能性もあります。トラブルを避けるためにも、なぜ直葬を選ぶのかを説明して納得してもらいましょう。

一番お金のかからない葬式は火葬(直葬)?

葬式の形式には、「一般葬」、「家族葬」、「火葬(直葬)」がありますが、一番費用がかからないのは火葬のみ(直葬)です。

葬儀一式および火葬にかかる平均費用は、一般葬が150万円前後、家族葬が80万円前後、そして火葬(直葬)が20万円前後です。火葬(直葬)の場合、祭壇や通夜振る舞いの飲食費、返礼品などの費用がかからず葬儀費用が安く済みます。

火葬(直葬)は一番費用がかかりませんが、反面、親族や周囲の理解を得にくくトラブルになることもあります。また、故人とのお別れの時間も充分に取れません。費用面だけでなくデメリットも理解しておくことが必要です。

葬儀をしないで火葬(直葬)する場合に費用を抑えるコツ

葬儀をしないで火葬(直葬)する場合に費用を抑える方法として、葬儀社を通さず自分だけで火葬手配などすべてを行うことが挙げられます。ただし、負担が大きく、実費としてそれなりに費用はかかるのであまりおすすめはできません。

むしろ、自治体からの補助金などを活用する方が実際的です。故人が加入していた健康保険から「葬祭費(埋葬費)」が5万〜7万円程度支給されます。また、事前に互助会などで積立をしておくと、葬儀費用に積立金を充当できます。

上記以外で、家族葬にかかる費用の負担を抑えるために、今、注目されているのが「葬儀保険の加入」です。一般の保険に比べ少額の保険料で済み、80代からでも加入できるプランもあります。

【PR】火葬(直葬)費用の負担を抑えたいなら「葬儀保険の加入」がおすすめ

葬儀保険は、本人の死亡の際、保険料が速やかに支払われるので、ご遺族の葬儀費用の負担を抑えることができます。

無告知型葬儀保険

無告知型葬儀保険は、加入するときに医師の診断書や健康告知などが必要ない保険です。疾病がある高齢の方でも加入しやすいのが特徴ですが、健康告知ありの保険に比べると保険料がやや割高になります。

40歳から79歳まで加入できます。保険期間は1年で、最大99歳まで更新が可能です。プランは1口(10万円)から最大10口(100万円)まで選べます。

契約日から3ヶ月間は待機期間のため、保険金は支払われません。申込時点で、本人が入院中であったり、著しい認知などで要介護の場合は、保険に加入できません。

【こんな方におすすめ】

  • がんや脳梗塞などの疾病で、他の保険に加入できない方

保険料一定型葬儀保険

保険料一定型葬儀保険は、一定の保険料を支払い続ける保険です。支払い保険料が一定である代わりに、年齢が進むにつれ受け取る保険金が減少していきます。

40歳から84歳まで加入できます。保険期間は1年で、最大99歳まで更新が可能です。支払方法は月払いのみです。医師の診断書は不要ですが、入院中や要介護の方は加入できない場合もあります。

契約日から1ヶ月間は待機期間のため、保険金は支払われません。支払う保険料は、1年ごとの更新時にのみ増額・減額変更が可能です。

【こんな方におすすめ】

  • あまり高い保険料は支払ないが、葬儀の費用は少しでも準備しておきたいという方

保険金固定型葬儀保険

保険料一定型葬儀保険は、受け取る保険金が固定されている保険です。年齢に関わらず変わらない保険金を受け取れますが、代わりに年齢が進むにつれ支払う保険料が増加していきます。若い年齢で加入するほど保険料は安く済みます。

40歳から84歳まで加入できます。支払方法は月払いと年払いがあります。医師の診断書は不要ですが、入院中や要介護の方は加入できない場合もあります。

契約日から1ヶ月間は待機期間のため、保険金は支払われません。受け取る保険金の額は、1年ごとの更新時にのみ変更が可能です。

【こんな方におすすめ】

  • 年齢はまだ若いが、万が一に備えて葬儀費用を準備しておきたいという方
  • 葬儀費用はある程度の額が必要だという方
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