近年、人生の終わりにむけて終活をするという考え方が広まってきました。その終活の一環として「エンディングノート」を作成する人が増加しています。
「50代のおひとりさまです。まだ元気なうちに終活を始めようと思っています。まずはエンディングノートを作ってみようと思うのですが、何を書けばいいのかよくわかりません。決まりのようなものはあるのでしょうか?」こんな相談がありました。
この記事を読めば、エンディングノートについて、どんなことを記載すればよいかなど詳しく知ることができます。
この記事の執筆者
執筆者 北原美弥子
FP技能士2級保持。長年にわたり企業の経理部に在籍した経験から、財務、法務の知識も備える。資産運用、保険に関する記事の執筆に加え、近年は墓じまい、永代供養に関する記事を多数執筆。
エンディングノート(終活ノート)とは
エンディングノートとは、もしものときに備えて、自分の情報や想いを書き留めておくノートのことです。
エンディングノートに何を書くかは特に決まりはなく、自由に記載してかまいませんが、主に「自分の死後の手続きで必要になる情報」「医療・介護など老後の希望方針」「葬式・お墓など死後に関する希望」「大切な人へのメッセージ」などを記載するケースが多いです。
エンディングノートを書くメリット
エンディングノートを書いておくことには、3つの大きなメリットがあります。
終活を円滑に進められる
エンディングノートがあると、いつ何をすべきかが明確になるので、自分の終活を円滑に進めていくことができます。
自分の意思を伝えられる
介護、終末期、葬儀、納骨などを自分の意志で決めたい方もいるでしょう。エンディングノートがあると、自分の意思を遺族につたえることができます。
遺された家族の負担を減らせる
万が一の場合、遺された家族の負担は非常に大きいものです。情報が記入されたエンディングノートがあると、遺族はよけいな負担をせずに済みます。
エンディングノートは、自分の終活を円滑に進めるために書いておくものでもあります。また、自分の意思を伝えるという目的を叶えることができます。
エンディングノートに書く内容は?
エンディングノートについてよく聞かれるのが「どんなことを書けばよいのかわからない」という相談です。エンディングノートに記載しておく内容を挙げてみました。
自身の基本情報
財産に関する情報
支払い情報
医療・介護の希望
葬儀・お墓の希望
相続・遺言の情報
連絡先リスト
家族へメッセージ
ペットの情報
IDとパスワード
自身の基本情報
エンディングノートになにを書くかわからないという方は、まず「自分自身の基本情報」を書いてみたら良いでしょう。
氏名や生年月日、現住所、本籍地、血液型などは、あなたが亡くなった後の手続きに必要な情報です。
記載する内容の例
- 氏名・生年月日
- 現住所・本籍地
- 大切な思い出
財産に関する情報
財産や資産に関することも、エンディングノートに書いておくべき項目の一つです。
財産の内容をしっかりまとめておけば、残された遺族の手続きの手間を減らすことができます。
記載する内容の例
- 預貯金
- 不動産
- 生命保険・年金
支払い情報
住宅や自動車のローン、継続購入サービスなどを利用しているなら、エンディングノートに書いておきましょう。
ローン類は、残額を遺族が支払わなければならない可能性があるので忘れずに記載しておきましょう。また、電気、ガスなど公共料金の支払い情報も必要です。
記載する内容の例
- 住宅・自動車等のローン情報
- 公共料金の支払い情報
- 定期購入サービスの有無
医療・介護の希望
エンディングノートで医療や介護に関する意思表示をしておくことも大切です。
突然、認知症や大きな病気に見舞われたり、怪我をしたりすると、医療や介護をどうして欲しいかを直接伝えられない可能性もあります。
記載する内容の例
- 希望する介護スタイル
- 終末医療・延命治療の希望
- アレルギーや持病、常備薬
葬儀・お墓の希望
亡くなった後の葬儀やお墓に希望がある場合は、エンディングノートに書いておきましょう。
近年では、葬儀やお墓の選択肢が増え、本人自身が希望する葬儀形式や納骨方法などを選ぶケースが増えています。遺影の写真も本人が希望するものを選ぶ方が良いでしょう。
記載する内容の例
- 葬儀の形式(葬儀社・お寺)
- 喪主・招待したい参列者
- 遺影の写真
相続・遺言の情報
エンディングノートには、法的拘束力はありません。相続に関する確実な遺言を残したい場合には、遺言書が必要です。
相続について遺言書がある場合には、エンディングノートに遺言書の有無や保管場所を書いておきましょう。せっかく遺言書を残しても見つけてもらえなければ意思が伝わりません。
記載する内容の例
- 遺言書の有無
- 遺言書の保管場所
- 形見わけする品物
連絡先リスト
エンディングノートには、親しい友人・知人の連絡先を一覧でまとめておきましょう。
何かがあった場合に、家族や知人が本人の交友関係を把握していないと連絡がとれません。
記載する内容の例
- 家族の連絡先
- 友人・知人の連絡先
- 万が一の場合、連絡の優先度合い
家族へメッセージ
家族や親しい方へのメッセージを、エンディングノートに残してみてください。万が一の場合、家族や親しい方とゆっくり話しをすることはできないかもしれません。
面と向かって感謝の気持ちを伝えるのは恥ずかしいという方も、エンディングノートだったら素直な気持ちを綴れるはずです。
記載する内容の例
- 家族へのメッセージ
- 親族へのメッセージ
- 親しい友人へのメッセージ
ペットの情報
ペットを飼っている方は、ペットの面倒は誰に見てほしいか、ペットをどのように扱ってほしいのかなどの希望をエンディングノートに書いておきましょう。
ペット自身の情報も書き記しておくと安心です。名前や年齢はもちろん、健康状態や性格、趣味嗜好を書いておくことで、次の飼い主がペットを受け入れやすくなります。
記載する内容の例
- ペットの名前・性別・年齢
- 健康状態・かかりつけの獣医
- 性格
IDとパスワード
パソコンやスマホを持っているのなら、IDやパスワードをエンディングノートにまとめておきましょう。
スマートフォンやパソコンなどのパスワードは、基本的には本人しかわからない情報です。IDとパスワードがわからないと、本人が亡くなった後にサービスの解約や削除に手間取ることになります。
記載する内容の例
- ログインに使っているメールアドレス
- アプリやサービスごとのID
- パスワード
エンディングノート(終活ノート)はどこで買える?
エンディングノートは、どんなものを使うのがよいのでしょうか。また、どこで購入すればよいのでしょうか。エンディングノートの購入方法についてまとめてみました。
市販品を使う
エンディングノートは、市販されているものを利用するのが一番簡単です。最近は終活用として、多くのエンディングノートがが販売されています。
無印
無印では、エンディングノートとして販売されているものはありません。しかし、ノート類は豊富に取り揃えているので、自由にまとめたいという方にはおすすめです。
ダイソー
ダイソーでは、「もしもノート」として販売されています。「じぶん」「おかね」「けんこう」「れんらく」「うちの子」と全部で5種類あり、それぞれの項目ごとにまとめられるので便利です。
普通のノートを使う
エンディングノートとして型ができているものを購入すると便利ですが、自分の思うように自由に書きたいのなら、ごく普通のノートを使ってもよいでしょう。
型ができているエンディングノートは、決まりに沿って記入すればよいので書きやすいという利点がありますが、その分自由度が低い傾向があります。
無料ダウンロードできるテンプレートを使う
エンディングノートをパソコン画面で直接入力して作成したいという方は、ダウンロードできるテンプレートを利用するのがおすすめの方法です。
テンプレートを使ってエンディングノートを作成するのには、「用意された項目を元に作成できる」「要点を抑えた書面にできる」「作成時間を短縮できる」「データとして保存できる」など多くのメリットがあります。
アプリを使う
スマホのアプリを使ってエンディングノートを作成する方法もあります。
ノートに直接書きこんで間違えてしまった場合、書き直しが面倒だったり、二重線や修正ペンで消すと見た目が汚くなってしまったりします。しかしアプリのエンディングノートだったら、編集や削除が簡単にできます。アプリによっては画像や音声を残せるものもあります。
まとめ:エンディングノート(終活ノート)とは | 書く内容は?どこで買える?
いかがだったでしょう。エンディングノート(終活ノート)についてまとめてみました。エンディングノートにはどんなことを書いておけばよいのかイメージすることができたでしょうか。
この記事の内容をまとめました。
- 「エンディングノート」とは、もしものときに備えて、自分の情報や想いを書き留めておくノートのこと
- エンディングノートを書くことで、「終活を円滑に進めることができる」「自分の意思を伝えられる」「遺された家族の負担を減らすことができる」などのメリットが得られる
- メッセージノートは市販されているものも多数あるが、普通のノートに自由に書いても構わない。無料のアプリをダウンロードして使うと修正も簡単にできるので便利