【FP監修】お寺で行う葬儀費用の平均 | 戒名や祭壇の費用も紹介

お寺で行う葬儀費用の平均

近年は葬儀社のホールでの葬儀が一般的になり、お寺での葬儀は少なくなりましたが、昔はお寺や自宅で葬儀を行うのが一般的でした。お寺での葬儀はお寺ならではの良さがあります。

「自分が亡くなったときは、お寺で葬儀をして欲しいと思っています。そのためにどのくらいの費用がかかるのか、あらかじめ把握しておきたいです。」このような相談がありました。

今回、解説する記事の内容をまとめました。

  • お寺で行う葬儀は「寺院葬」と呼ばれ、近年は檀家でなくても宗派が合えばお寺での葬儀はできる
  • お寺で行う葬儀は、通夜・告別式を行うのが基本で、10~20名程度の家族葬で行われる場合が多い
  • お寺で行う葬儀の平均費用は、祭壇、読経・戒名のお布施などを含めて平均100万円前後
  • お寺で行う葬儀の流れは、一般的な葬儀の流れとほぼ同じ
  • お寺で行う葬儀の場合、宗派によって焼香や葬儀中の作法などが異なる
  • お寺で行う葬儀費用を抑えるには、「お寺や葬儀社とよく話し合う」「戒名や祭壇を一般的なものにする」などがある。葬儀保険の加入も有効な方法の一つ

この記事を読めば、お寺で行う葬儀の費用、葬儀の流れやマナーまで詳しく知ることができます。

この記事の執筆者

筆者:北原 美弥子

執筆者 北原美弥子

FP技能士2級保持。長年にわたり企業の経理部に在籍した経験から、財務、法務の知識も備える。資産運用、保険に関する記事の執筆に加え、近年は墓じまい、永代供養に関する記事を多数執筆。

目次

お寺で行う葬儀とは?

お寺で行う葬儀は「寺院葬」と呼ばれます。おごそかな雰囲気の中で葬儀を行うことができるのに加え、民間の斎場より葬儀費用も抑えられることもあり、コロナ以降は寺院葬を選ぶ方も少しずつ増えてきました。

本来、お寺での葬儀はその檀家のみに限られていましたが、最近は菩提寺がない方も多く、宗派が合う寺院であれば葬儀を行えるお寺も増えてきています。葬儀については、お寺が直接担う場合と葬儀社が担う場合に別れます。

菩提寺がある方は、直接お寺に相談をしても良いと思いますが、菩提寺ではないお寺に直接依頼しても受けてもらえないことがあります。搬送や安置など全てを担うのはお寺にとっても負担なので、多くのお寺は葬儀社を通して葬儀を受けています。

お寺で行う葬儀費用の平均を紹介【家族葬の場合】

お寺で行う葬儀は、基本的には近親者のみが参列する家族葬となります。大きな寺院は別ですが、普通のお寺は大勢の参列者は収容できません。こちらでは、お寺での家族葬にかかる費用を紹介していきます。

お寺で行う家族葬は通夜・告別式を行うのが基本

お寺で行う家族葬は、通夜・告別式を行うのが基本です。お寺によっては一日葬(告別式のみ)でも受けてもらえることもありますが、通常は仏式にのっとった作法の流れで行われます。

最近は、告別式のみの一日葬や火葬のみの直葬などを選ぶ方もだいぶ多くなってきましたが、お寺での葬儀はこのような自由な選択はできないと考えた方が良いでしょう。ただ、通夜振舞いなどは省略できることもあるようです。

お寺での葬儀は、仏式の作法にのっとった一連の葬儀を行う前提で申し込みましょう。遺族が勝手を通すのはお寺に失礼にあたり、のちのちトラブルになる場合もあります。儀式の一部を省略したい事情があれば、あらかじめ相談しましょう。

お寺で行う家族葬の参列者は平均10~20名程度

お寺で行う家族葬の参列者は、平均10~20名程度とされています。

よほど大きな寺院や別途に葬儀施設を構えているお寺でない限り、お寺が受け入れられる参列者はせいぜい20名程度です。駐車場も限られているので、大勢の参列者が来るような一般葬は受けてもらえないことが多いです。

少ない参列者での葬儀については特に制限はありません。家族のみで3~4名の参列で行われる場合もよくあります。

お寺で行う葬儀費用の平均を紹介【15名】

お寺で行う葬儀費用の平均は、100万円前後といわれています。参列者数が多くても少なくても費用は大きくは変わりません。下の表は、15名程度の参列で通夜、告別式、火葬の流れで葬儀を行った場合の平均費用の内訳です。

項 目内 容料 金
葬儀費用一式・ご遺体の搬送・安置
・祭壇
・役所手続き代行
・寺院施設使用費
600,000円〜
葬儀以外の費用・通夜飲食代、火葬場飲食代
・返礼品
100,000円〜
・お布施(戒名授与含む)300,000円〜
・火葬費用(地方自治体による)無料〜78,000円

実際には、もう少し費用がかからずに済む場合が多いです。お寺の葬儀の場合、本堂の祭壇をそのまま使用する場合もあり、祭壇費用がかからないこともあるからです。葬儀社での葬儀と比較してお寺での葬儀の方が費用がかからずに済みます。

葬儀でほかにかかる費用として、御膳料とお車代があります。御膳料はお坊さんが通夜振舞いなど飲食の場に来られなかったときにお布施と別に渡します。包むのは1万円程度で良いでしょう。お車代は、お寺の葬儀の場合は渡す必要はありません。

お寺で葬儀を行う場合の戒名・祭壇・お布施の費用を紹介

お寺で葬儀を行う場合の費用は、全体の8割を戒名・祭壇・お布施が占めます。戒名・祭壇・お布施の費用を詳しく紹介しましょう。

お寺で葬儀を行う場合の戒名費用

「戒名」とは、本来は仏弟子となった証として与えられる名前ですが、現在では亡くなったときにお坊さんにつけてもらうのが一般的です。戒名の費用(お布施)は宗派によって異なり、ランクによっても異なります。

浄土宗、浄土真宗の戒名は比較的安いといわれており、一般的な下のランクの戒名だと10万円程度から授けてもらえるようです。ほかの宗派の場合は下の一般的なランクで30~50万程度が相場となります。

お寺で葬儀を行う場合、そのお寺で戒名を授けてもらうのが基本です。菩提寺での葬儀であれば、お寺との付き合い方によっては高位の戒名をすすめられるかもしれません。菩提寺ではないお寺の場合は一般的な戒名となることが多いです。

お寺で葬儀を行う場合の祭壇費用

お寺で葬儀を行う場合の祭壇費用は、30万円から120万円まであります。祭壇にもランクがあり、上のランクのものを選ぶと費用がよりかかります。

お寺の本堂で葬儀を行う場合には、すでに祭壇があるので生花などの飾り付けをするだけで済むため、費用をかなり抑えることができます。お寺の葬儀施設で葬儀を行う場合は、祭壇を設置するので費用がかかります。

お寺の本堂で葬儀を行うことができるのは、基本的にはそのお寺の檀家となっている方ですが、近年は檀家でなくても本堂での葬儀を受け付けているお寺もあります。

お寺で葬儀を行う場合の読経のお布施費用

お寺で葬儀を行う場合の読経のお布施ですが、15〜30万程度が相場とされています。

お寺で葬儀を行う場合の読経のお布施は、一般的には戒名授与のお布施を併せて渡すことが多いです。読経の回数と戒名のランクにもよりますが、一般的には、読経と戒名両方併せて30~40万円程度を包むことが多いようです。

お布施は戒名や読経のお礼としておさめるもので、金額が決まっているものではありませんが、お寺での葬儀の場合はあまりに少ないお布施は失礼になります。お布施の準備が難しい場合は、あらかじめ、お寺や葬儀社に相談しましょう。

お寺で葬儀を行う場合の流れ

では、お寺で葬儀を行う場合の流れについて、かんたんに説明しましょう。今回は、葬儀社を通してお寺での葬儀を行う場合について説明します。

1.搬送・ご安置

葬儀社の寝台車に迎えに来てもらい、故人を安置先に搬送します。お寺で安置するのは難しい場合が多く、たいていは葬儀社の安置室か自宅となります。

2.お寺・葬儀社との打ち合わせ

お寺、葬儀社と葬儀の日程や内容、今後の流れなどを打合せします。お寺が決まっていない場合はお寺での葬儀を希望している旨を伝え、葬儀ができるお寺を紹介してもらいましょう。

お寺によっては、提携している葬儀社が決まっている場合もあります。菩提寺など葬儀を行いたいお寺がある場合は、あらかじめお寺にどこの葬儀社を通して依頼すればよいか確認しておくことが必要です。

3.ご納棺

ご遺体は通夜までにお棺に納めてもらいます。手配は葬儀社が行ってくれます。その際、想い出の品物などを入れることも可能です。

4.お通夜

故人をお寺に安置して行います。夕方から開始して、お坊さんにお経をあげてもらいます。その後、通夜振る舞いと行って、遺族が弔問客への謝意を込めて酒食を振る舞います。別室で料理やお酒でもてなしながら故人の思い出を語り合います。

近年は、家族のみが参列する葬儀も増えており、通夜振舞いは行わなかったり、お弁当を渡すことも多いです。また、通夜のあとは家族が泊まる風習がありましたが、現在はあまり行われなわれていません。

5.告別式

告別式は1時間ほどの儀式で、お坊さんにお経をあげてもらいます。火葬場に出発する前に、故人との最期のお別れとなります。告別式の時間は、火葬場の予約時間から逆算して決定します。

6.火葬

火葬場にて荼毘に伏します。火葬前に10分程度お経をあげてもらいます。時間は1時間前後で終了後、ご遺骨を骨つぼに収め、葬儀は終了となります。骨つぼは、納骨まで自宅に安置することになります。

仏式葬儀の正式な流れでは、火葬場から戻った後、精進落としとして食事をふるまうことや、繰り上げ初七日が行われますが、最近は省略されることも増えています。

お寺で葬儀を行う場合に気を付けるマナー

お寺で葬儀を行う場合に気を付けるマナーは、服装などは葬儀場で行う葬儀と変わりません。お寺の宗派によって、焼香のやり方、数珠の使い方、葬儀中の作法などが異なりますが、細かい作法については、お寺側が葬儀前に丁寧に教えてくれます。

参列者の人数はお寺の規模に合わせて調整をしましょう。大人数で参列されると収容できないことがあります。お寺の駐車場もそこまで広くない場合もあるので、葬儀に来る車の台数はできるだけ抑えましょう。

お寺での葬儀のマナーで最も大切なのは、喪主があらかじめお寺としっかり打合せをしておくこと、遺族は葬儀をしてもらう感謝の意を伝えることです。葬儀は、受け入れるお寺側にも負担がかかるものですから、しっかり感謝を伝えましょう。

お寺での葬儀費用を安く抑えるには

お寺での葬儀を希望していても、費用面で難しいと考えてしまう方もいるでしょう。ここでは、お寺での葬儀にかかる費用をできるだけ抑える方法を紹介します。

生前のうちにお寺、葬儀社と打合せをしておく

菩提寺がある場合は、生前のうちにお寺に葬儀をしてもらいたい旨を伝え、打合せをしておきましょう。費用が厳しい場合は、正直にそのことを伝えましょう。お寺としても菩提寺として付き合ってきているので相談に乗ってくれることが多いです。

葬儀社にお寺での葬儀手配をお願いする場合も同様で、まずどのくらいの費用が必要になるか確認しましょう。宗派にこだわらなければそれほど費用がかからないお寺を紹介してもらえることがあります。

本来、お布施は気持ちを表すもので、謝礼や対価として渡すものではありませんが、本当に気持ちだけではお寺側の心証も良くはないでしょう。お布施の費用でお困りの場合は、まずお寺や葬儀社に相談することが大切です。

祭壇、戒名は一般的なものを選ぶ

祭壇と戒名にはランクがあることはお伝えしましたが、一番下の一般的なものにすれば費用を抑えることができます。

お寺の本堂で葬儀を行うと、祭壇は必要ない場合もあります。本堂での葬儀は、通常は檀家しか利用できませんが、お寺によっては檀家でなくとも使わせてくれる場合もあります。費用面で厳しい場合は相談してみても良いかもしれません。

祭壇と戒名について、「下のランクを選ぶと恥ずかしい」「みすぼらしいと故人が可哀そう」という方もいますが、お寺で葬儀を行うだけで立派な弔いになります。多くの方は、下のランクのごく一般的なものを選択しています。

【PR】お寺で行う葬儀費用の負担を抑えたいなら「葬儀保険の加入」がおすすめ

葬儀保険は、本人の死亡の際、保険料が速やかに支払われるので、ご遺族の葬儀費用の負担を抑えることができます。

無告知型葬儀保険

無告知型葬儀保険は、加入するときに医師の診断書や健康告知などが必要ない保険です。疾病がある高齢の方でも加入しやすいのが特徴ですが、健康告知ありの保険に比べると保険料がやや割高になります。

40歳から79歳まで加入できます。保険期間は1年で、最大99歳まで更新が可能です。プランは1口(10万円)から最大10口(100万円)まで選べます。

契約日から3ヶ月間は待機期間のため、保険金は支払われません。申込時点で、本人が入院中であったり、著しい認知などで要介護の場合は、保険に加入できません。

【こんな方におすすめ】

  • がんや脳梗塞などの疾病で、他の保険に加入できない方

保険料一定型葬儀保険

保険料一定型葬儀保険は、一定の保険料を支払い続ける保険です。支払い保険料が一定である代わりに、年齢が進むにつれ受け取る保険金が減少していきます。

40歳から84歳まで加入できます。保険期間は1年で、最大99歳まで更新が可能です。支払方法は月払いのみです。医師の診断書は不要ですが、入院中や要介護の方は加入できない場合もあります。

契約日から1ヶ月間は待機期間のため、保険金は支払われません。支払う保険料は、1年ごとの更新時にのみ増額・減額変更が可能です。

【こんな方におすすめ】

  • あまり高い保険料は支払ないが、葬儀の費用は少しでも準備しておきたいという方

保険金固定型葬儀保険

保険料一定型葬儀保険は、受け取る保険金が固定されている保険です。年齢に関わらず変わらない保険金を受け取れますが、代わりに年齢が進むにつれ支払う保険料が増加していきます。若い年齢で加入するほど保険料は安く済みます。

40歳から84歳まで加入できます。支払方法は月払いと年払いがあります。医師の診断書は不要ですが、入院中や要介護の方は加入できない場合もあります。

契約日から1ヶ月間は待機期間のため、保険金は支払われません。受け取る保険金の額は、1年ごとの更新時にのみ変更が可能です。

【こんな方におすすめ】

  • 年齢はまだ若いが、万が一に備えて葬儀費用を準備しておきたいという方
  • 葬儀費用はある程度の額が必要だという方
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